小惑星イレーネによる恒星の掩蔽の改良予報

【2000年5月19日 佐藤 勲 氏 ONM No.527】

Hipparcos衛星とUSNOでの観測を使った軌道改良によると、5月28日(日)に起こると予報されていた小惑星(14)Irene(11.2等)によるACT0935242(10.26等)の掩蔽は、20h30m20sごろ、近畿、中国、四国地方を通ることが確実となっています。 名目上の掩蔽帯は、和歌山県、兵庫県、岡山県、広島県、鳥取県、島根県、四国全県を通っており、福井県〜愛知県付近から九州北部までが可能性圏内にあります。

小惑星の推定直径は155kmで、掩蔽が起これば、最長4秒間にわたって1.3等の減光が起こります。 恒星の位置は、赤経08h09m25.3s, 赤緯+26゚16'16"にあります。 日曜日の夕方に起こる現象で、恒星が10等と暗く、薄明が終りきっていませんので、早めに準備をし、赤道儀の目盛環やエンコーダーを使って目的星を導入して下さい。

さて、観測方法ですが、眼視観測の場合は、電話時報を受信し、時報と現象が起こった時の声を録音して、後で再生して潜入と出現の時刻を0.1秒単位で求めます。 現象を見てから声が出るまでの反応時間は、適当に見積もって補正します。 眼視観測は信頼性が低いので、近くの人とペアを組んで2人以上で観測すると、信頼性が向上します。

ビデオ観測の場合は、できればI.I.や高感度の白黒ビデオを使用し、時報を同時録音します。 周囲の星が映るような倍率で観測すると、雲の通過による減光を区別することができます。

掩蔽帯図
5月28日
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この情報は、お近くの観測者にも伝え、なるべく多くの観測が得られるよう御協力下さい。 観測報告は、現象が起こらなくても、曇っても、観測地の詳しい経緯度や高度、望遠鏡、観測方法、観測状況などを添えて、佐藤勲氏(satoois@cc.nao.ac.jp)まで是非御報告下さい。