木星探査機ガリレオがとらえた木星の小型衛星

【2000年4月27日 NASA JPL Picture Archive (2000/4/24)

木星には大小あわせて16個の衛星が発見されているが、NASAの木星探査機ガリレオによりとらえられた木星の小型衛星の姿がこのたび公開されたので、紹介させていただく。


1997年12月撮影のテーベ、アマルテア、メチス

1997年12月撮影のテーベ、アマルテア、メチス

それぞれ1997年12月、木星周回・第11周目での撮影。この時点において、ガリレオは当初から予定されていた木星軌道到着後の最初の2年の「ガリレオ・プライム・ミッション」を終えつつあり、この後の2年間の延長任務「ガリレオ・エウロパ・ミッション」に取り組み始めようとしていた。

上部2枚は赤道半径45kmほどのテーベ(Thebe)。2枚の間に、テーベは50度ほど自転しており、大きなクレーターの位置が変わっていることがわかる。この大きなクレーターは、テーベ上で永久に木星を向くことが無い地点の付近に位置している。

その次の上から3枚目および4枚目は赤道半径100kmほどのアマルテア(Amalthea)。このとき太陽光はガリレオの真後ろからあたっていたため、物質の違いによる見た目の明るさの差がよくわかる画像となっている。上から3番目の画像はノイズがひどいが、これはイオを撮影した画像の一部であるため。イオとアマルテアを同時にとらえた画像だったが、露出はイオに合わせて調整されていたため、アマルテアはこのようにノイズがひどくなってしまっている。上から4番目の画像は、アマルテア上の特長的な白い地点をとらえている。この地点は、アマルテア上で永久に木星を向くことが無い地点の付近に位置している。

そして一番下は、赤道半径10kmほどのごく小さな衛星、メチス(Metis)だ。

すべての画像において、上がほぼ北。大きさの相対関係が正しくなるように調節されている。撮影日・撮影距離は上の画像から順に1997年12月7日・約504,000kmからのテーベ、1997年12月7日・約548,000kmからのテーベ、1997年12月6日・約650,000kmの距離からのアマルテア、1997年12月7日・約475,000kmからのアマルテア、1997年12月7日・約637,000kmからのメチス。


1999年8月撮影のアマルテア

1999年8月撮影のアマルテア

アマルテア(Amalthea)は、赤道半径100kmほどの小さな衛星。左は1999年8月12日、446,000kmの距離からの撮影。右は1999年12月26日、約374,000kmの距離からの撮影。両画像とも3.8km程度の構造までわかる。太陽光はともに左からで、上がほぼ北。

右側に見える大きなクレーターは、直径40kmほどだ。このクレーターから上に向かってV字型に高い峠が伸びており、さらにその左には、右側にあるものと同程度の大きさのクレーターが見える。その左には50kmほどにわたって白い筋が延びているが、以前の撮影(上で紹介したもの)ではこの地点は円状の形状を持っていると思われていた。

右側のクレーターはアマルテアのほぼ進行方向に位置し、左側の白い筋はアマルテア上で永久に木星を向くことが無い地点の付近に位置している。


テーベ、アマルテア、メチスのベストショット

テーベ、アマルテア、メチスのベストショット

2000年1月に撮影されたテーベ(左)、アマルテア(中央)、メチス(右)。解像可能な最小構造は、テーベで2km、アマルテアで2.4km、メチスで3kmで、それぞれの画像はそれぞれの衛星をとらえた中で最高解像度の画像だ。これらの衛星は、ガリレオ4大衛星のうち最も木星に近いイオ(Io)よりもさらに内側の軌道を持つが、今回公開されたのクローズアップ画像は、1997年12月〜2000年1月までの2年間の延長ミッション「ガリレオ・エウロパ・ミッション(GEM)」の成果。GEMではガリレオはイオへのフライバイ(接近通過)を3回試みており、その際にこれらの内側軌道の小型衛星のクローズアップ撮影が可能となったのだ。

個々の画像は、大きさの相対関係が正しくなるように調節されている。太陽光は右から、上がほぼ北。テーベ上の大きなクレーターは直径40kmほど。アマルテア下部の白い部分は、これら3つの衛星に見られる中では最も明るい地形だが、この部分は完全に露出オーバーとなってしまっており、実際に白い部分よりも多少大きく写っているかもしれない。アマルテア左の明暗境界線に注目すると、この衛星が非常にでこぼこした粗い地形を持っていることがよくわかる。

すべて2000年1月4日の撮影で、テーベは約193,000kmの距離から、アマルテアは238,000kmの距離から、メチスは約293,000kmの距離からの撮影。


より高解像度の画像は、NASA JPL Picture Archive (英文)を参照されたい。

画像提供=NASA JPL/Cornell University

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