MITの学生が編隊飛行実験衛星SPHERESを製作

【2000年4月5日 SpaceDaily (2000/4/3)

マサチューセッツ工科大学(MIT)の同じコースに所属する13人の学部生からなるチームがSPHERESと呼ばれる3機組の小型実験衛星を製作、テスト中。SPHERESは、Synchronized Position Hold Engage Re-orient Experimental Satellitesの略で、宇宙空間での人工衛星による編隊飛行を実現するための予備実験を行う衛星。大きさはバレーボール程度。

今週はNASAのKC-135輸送機の機内にて衛星の通信装置とコンピュータのテストが行われている。NASAのKC-135は、高空からの降下により短期間ではあるが無重量状態を作り出すことができる。KC-135機内での最初のテストは今年2月下旬に行われ、2機のSPHERES衛星を使って今回のテストに備えて機器を改良する助けとなるようなデータを集めることに成功している。

「私たちの考えは、1機の高価な大型衛星を飛ばすより、数機の小型衛星によるネットワークを組んだほうが良いのではないかということです。これは、コンピュータが大型メインフレームコンピュータから小型パソコンによるネットワークに移行してきたことと良く似ています。」David W. Miller助教授はこう言っている。今回SPHERES計画にて得られるであろう成果の面白い応用例は、反射鏡を搭載した数機の小型衛星による編隊から成る、ハッブル宇宙望遠鏡よりも高解像度の宇宙望遠鏡だ。

Miller助教授とDava J. Newman助教授がこの計画を指導している。両者とも航空宇宙航法学科(Department of Aeronautics and Astronautics)の所属。SPHERES計画は研究と教育の両面を持つ。

SPHERES衛星は、スペースシャトルまたは国際宇宙ステーション(ISS)の内部にて飛行を行うように作られている。そこで宇宙飛行士たちは様々な条件によりSPHERES衛星を使って実験し、編隊飛行のためのデータを集めることができる。衛星のテストを宇宙船の船内にて行うことには様々な利点があり、たとえば、船外の苛酷な環境に耐える必要が無いので低コストでの実験が可能となる。

SPHERES計画は教育的実験でもある。今回の計画は、航空宇宙航法学科が1つのコースに所属する学部生に航空宇宙製品の設計・製作・テストの機会を与えた初めてのものだ。「この計画では学部生は1つの航空宇宙製品のライフサイクル全体を経験することができるのです。」Miller助教授は語った。