土星よりも小型の2つの太陽系外惑星が発見された[続報]

【2000年3月31日 NASA Space Science News (2000/3/29)

土星よりも小型と考えられる2つの太陽系外惑星が発見された。これまでに太陽系外星系に30個の惑星が発見されているが、それらは全て太陽系最大の惑星である木星程度かそれ以上の大きさであった。今回の2つの土星クラスの惑星の発見は、多くの恒星が木星クラスの惑星に加えて土星クラスの惑星も携えているということを暗示するものであり、系外惑星探索における重要な一歩である。

今回の発見はカリフォルニア大学バークレー校のGeoff Marcy氏、ワシントンカーネギー協会のPaul Butler氏、並びにカリフォルニア大学サンタ・クルーズ校のSteve Vogt氏により、ハワイ・マウナケア山頂のケック10m望遠鏡を用いて行われた。

今回発見された惑星は、「いっかくじゅう座」にあり、地球から109光年の距離にある恒星「HD46375」の周り公転する土星の80%程度の質量の惑星、および「くじら座」にあり、地球から117光年の距離にある恒星「79 Ceti(=HD16141)」の周りを公転する土星の70%程度の質量の惑星の2つ。前者は母星から半径610万km(=0.04天文単位)を3.02日周期で公転しており、後者は半径5,200万km(=0.35天文単位)を75日周期で公転している。1天文単位は太陽-地球間の平均距離であるから、両惑星とも母星にかなり近い公転軌道を持っていることになる。

彼らが発見に用いた方法は、惑星の重力の影響による恒星の運動速度の揺らぎを測定することにより、間接的に惑星の存在を調べるというもの。この方法により彼らは過去5年間に今回の2つの他に21個もの太陽系外惑星の発見に成功している。今回は惑星が母星にごく近かったため、惑星の重力が母星に与える影響が惑星の質量の割に大きかったことが、今回の土星クラス惑星の発見につながったのだが、今回のケースにおける惑星の重力の影響による母星の運動速度の揺らぎは毎秒11m程度。これは人間の短距離走者より少し早い程度に過ぎないのだが、ケック10m望遠鏡の威力によりその計測が可能となった。

今回発見された2つの惑星は、水素とヘリウムを主な構成要素とするガス惑星であると考えられる。これらの惑星は母星に非常に近いため超高温であると考えられ、「HD46375」周囲のものは1130℃、「79 Ceti」周囲のものは830℃ぐらいであると思われる。これらの惑星は恐らく現在より母星から離れた位置で形成され、その後現在の軌道まで母星に近づいたと考えられる。その接近過程において、より小型の――地球型の――惑星の軌道を乱したかもしれない。Marcy氏とButler氏の惑星発見法により、母星に近い大型惑星が多数発見されており、それはこれまで探査した星系の約6%にものぼる。したがって、大型惑星が小型惑星の軌道を乱すというケースはこれまで考えられていたよりもありふれているのかもしれない。

今回の発見は、Marcy氏とButler氏の惑星発見法により地球から300光年以内の1,100の星系を探査しようという数年にわたるプロジェクトの成果の1つ。