太陽の磁力線、可視化に成功

このエントリーをはてなブックマークに追加
国立天文台の岩井一正さんらの研究グループが、野辺山電波ヘリオグラフを用いて太陽の磁力線の可視化に成功した。

【2015年1月23日 国立天文台野辺山

太陽の上層大気(コロナ)の中では、プラズマ粒子と磁場との相互作用でフレアなどの爆発現象が発生する。だがコロナの磁場は弱く大気も不安定なので観測が難しく、その計測については、太陽表面の磁場からの推定に留まっていた。

国立天文台の岩井一正さんらは、野辺山(長野県)の電波ヘリオグラフを用いた観測でコロナの磁場を直接導出することを試みた。

コロナ中のプラズマ粒子は磁力線を中心に円運動し、それが電波の通りやすさのムラ(波の振動方向の偏り)を作る。電波ヘリオグラフでは太陽の爆発現象にともなう磁場ループ(ポストフレアループ)を観測し、その円偏波データから、視線方向の磁場を求めた。さらに、NASAの太陽観測衛星「SDO」や「STEREO」による極端紫外線(EUV)観測で、同一のループの立体的な形状や向きを把握した。

これらのデータを照らし合わせることで、コロナの磁場と方向の両方を導出した。電波観測からコロナの磁場やその向きが同時に得られたのは今回が初めてであり、今後、磁場の情報が不可欠なフレアなどの研究に役立つと期待される。

EUVと電波観測で見た、ポストフレアループの磁場
地球近傍にいる衛星「SDO」がEUVで観測したポストフレアループの磁場。赤の等高線は、電波ヘリオグラフで見た視線方向の磁場(提供:Iwai et al./SDO AIA)

異なる角度から見たポストフレアループ
衛星「STEREO」が地球軌道上の異なる位置から違う角度で見た同上のポストフレアループ(提供:NASA STEREO AIA)

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉

〈関連製品・商品〉

関連記事