小惑星アグリッピーナによる恒星の掩蔽の改良予報

【1999年12月2日 佐藤 勲 氏 ONM No.490】

USNOでの10月13日から11月30日までの観測によると、12月19日(日)に起こると予報されていた小惑星(645)Agrippina(13.7等)によるHIP027791(7.72等)の掩蔽は、21h06mごろ、北海道中部を通る可能性が高いことがわかりました。 名目上の掩蔽帯は、網走、旭川、小樽などを通っており、稚内、函館、えりも岬などを除く北海道全域が可能性圏内にあります。 また、メキシコ、カリフォルニア州南端、朝鮮半島、中国なども通っており、星が8等と比較的明るいため、複数の国で観測される可能性もあります。

小惑星の推定直径は28kmで、掩蔽が起これば、最長3秒間にわたって6.0等の減光が起こります。 恒星の位置は、赤経05h52m52.7s, 赤緯+34゚26'43"にあります。

さて、観測方法ですが、眼視観測の場合は、電話時報を受信し、時報と現象が起こった時の声を録音して、後で再生して潜入と出現の時刻を0.1秒単位で求めます。 現象を見てから声が出るまでの反応時間は、適当に見積もって補正します。 眼視観測は信頼性が低いので、近くの人とペアを組んで2人以上で観測すると、信頼性が向上します。

ビデオ観測の場合は、できればI.I.や高感度の白黒ビデオを使用し、時報を同時録音します。 周囲の星が映るような倍率で観測すると、雲の通過による減光を区別することができます。

掩蔽帯図
12月19日
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この情報は、お近くの観測者にも伝え、なるべく多くの観測が得られるよう御協力下さい。観測報告は、現象が起こらなくても、曇っても、観測地の詳しい経緯度や高度、望遠鏡、観測方法、観測状況などを添えて、佐藤勲氏(satoois@cc.nao.ac.jp)まで是非御報告下さい。