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小惑星エウニケによる
恒星の掩蔽を遠征観測しよう!


【1998年9月21日 佐藤 勲 氏 ONM No.362】

24日(木)に起こると予報されている小惑星(185)Eunike(10.8等)によるHIP003593(7.27等)の掩蔽の改良予報の精度は、十分高く、小惑星の大きさのわずか1/4です。 このため、この現象を接食のような感覚で遠征観測する計画が、関東や近畿の観測者の間で持ち上がっています。 高速道を利用し、新潟、長野、岐阜あたりのインターチェンジを降りた所やパーキングエリアで観測しようというものです。 布陣の間隔は、5〜20km程度で十分なので、携帯電話が連絡に便利と思われます。

固定観測者は、その場所で待機しての観測をお願いしますが、移動観測が可能な方は、できるだけ掩蔽帯の中心に近い場所へ移動して観測する方がよいでしょう。 北海道と東北地方では、日本海沿岸が掩蔽帯の中心に近い場所で、佐渡島、長野市、知多半島を結んだ線が、掩蔽帯の中心線です。 ここを中心に幅165kmの範囲が掩蔽帯で、稚内、札幌、小樽、函館、弘前、秋田、酒田、新潟、冨山、小諸、松本、静岡、浜松、名古屋、岐阜、津、尾鷲などが掩蔽帯に含まれ、名寄、青森、山形、高崎、甲府、金沢、大津、奈良などが限界線付近にあります。

もし現象が起これば、最長13秒間にわたって3.6等級の減光が起こります。 隠される恒星の位置は、赤経00h45m59s2、赤緯-16°39'09"で、くじら座β星の近くにあります。 この恒星は分光連星なので、潜入または出現の際に2段階の光度変化が見られたり、予報掩蔽帯以外の地域でも伴星の掩蔽が見られる可能性がありますので、予報掩蔽帯以外の地域でも注意深い観測が必要です。

予報と観測用星図は、月刊天文およびスカイウオッチャーの9月号にあります。

改良予報の掩蔽帯図改良予報の掩蔽帯図
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恒星は7等と明るく、見つけやすい場所にあり、今年で最も条件の良い現象の一つです。 眼視観測の場合、JJYまたは電話時報を受信し、時報と現象が起こった時の声を録音して、後で再生して潜入と出現の時刻を0.1秒単位で求めます。 現象を見てから声が出るまでの反応時間は、適当に見積もって補正します。 眼視観測は信頼性が低いので、近くの人とペアを組んで2人以上で観測すると、信頼性が向上します。ビデオ観測の場合は、時報を同時録音します。

この情報は、お近くの観測者にも伝え、なるべく多くの観測が得られるよう御協力下さい。 観測報告は、現象が起こらなくても、曇っても、佐藤勲氏(satoois@cc.nao.ac.jp)まで是非御報告下さい。


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