ペガスス座51番星系で新星座を考える

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星座制定の任務

時は3121年、星座制定委員会の委員である「アケオ・ヤマガタ」は、恒星間連絡船「アケボノ」のグランドビュー席に座りながら、眼前に迫るペガスス座51番星(51Peg)の輝きを眺めていた。来年、51Pegの首都「フソウ」の落成を記念して、51Peg星系星座の制定が行われることになっている。その最終案をまとめる前に、ヤマガタは実際の星空を見るべく1年をかけてこの地、もとい星にやってきた。

かみやま
かみやま

とまあ、いろいろ考えているプラネタリウム番組案の1つのイントロ部分です。他星系では地球とは星の配列がまるで違うので、その「星座がどうなるのか」をテーマに考えてみましょう。

ステラナビゲータ12で宇宙へ飛び出す

今回は他星系から見た星空をシミュレーションするため、ステラナビゲータ12を使用します。

ステラナビゲータ12では、系外惑星の軌道を表示できるようになり、数多くの系外惑星が恒星の周りを廻っている様子を見ることができます。

ペガスス座51番星(51Peg)系(画像クリックで拡大表示)

筆者が思春期を過ごした1970年代は、アポロ計画の高揚感をもって、いつか人類は宇宙に飛び出していくだろうという希望にあふれていた時代でもありました。宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999のヒットも、このような背景があったからでしょう。そんな青春を思い出しながら、ステラナビゲータ12で星間旅行に繰り出します。太陽を離れてはるか離れた星に向かって移動するにつれて、星の配置も変わっていき、目的の星系に到着するころには、見慣れない星空が待っているはずです。

それでは、一番最初に発見されて系外惑星、51Pegに向かいます。次の星図の中で赤くポイントされているのが、系外惑星たちです。51Pegがどこにあるか見つけられますか?

ステラナビゲータ12で系外惑星を表示(画像クリックで拡大表示)

地球から50光年の彼方。人類がこの距離を踏破できるのはいつになるのでしょうか。それはさておき、星空を眺めてみましょう。残念ながらまだ系外惑星に着陸は出来ないので、その近辺で星を眺めます。天の川こそ、みなれたものですが、星の並びは全く違うものになります。もちろん、地球で見慣れた星座は姿かたちも見られません。

51Peg星系から見た天の川中心方向(画像クリックで拡大表示)

新たな移住先で繋ぐ星座たち

もし人類が他の星系に移住をしたら、その星系でみられる「星座」はどうなるのでしょう。

実は、科学的な星座は「星座境界線」として定義されているのですが、星の位置が変わってしまうので意味がありません。恒星は、いろいろなカタログ名で区別されるため、今や星座境界線もあまり科学的価値は無いのかもしれません。しかし、空を見上げたときに記号化さえれた星の集まりという解釈だけでは、ちょっと味気ないですね。

教育的観点から言えば、自然物に名前を与えて区別できるようにする必要があります。星座は、星の配置をグループ化させ、個々の星を認識するうえでとても役立つものです。そうは言っても、この考え方は「日本人的」な考え方かもしれません。日本のプラネタリウムでは「星座」の解説が人気です。自然物に名前を付け、疑似人格を与えるのは、他ジャンルを見回してもわかるように東洋思想の反映とも言えます。

また、星間移住について移住先でのコミュニティの確立を考えると、地球上の一定地域を個とした集団移住が考えられます。その際、集団が日系ならば、絶対に星座をつくるでしょうね。星の配置は計算済みなので、移住前から決めることもできます。しかし、やはり土着の星座が大事なので、居住開始からある程度の時間が必要かもしてません。冒頭の文は、先遣隊が開拓を行い、首都が完成したときに星座を制定するという設定です。

ということで、51Peg星系の星座制定委員会の委員になったつもりで、星空をみていきましょう。

まず、絶対大事なのが太陽です。ここから見る太陽は5等星です。

51Peg星系から見た太陽(画像クリックで拡大表示)

ちょっと目立ちませんが、これをα星として星座を作りたいですよね。ふと太陽方向に目をやると、シリウス、プロキオンが見えているので、太陽とあわせて3つを結んで我らが「ホーム」座などにしたいですね。

51Peg星系から見た太陽とその周りの恒星名(画像クリックで拡大表示)

さらによく見ると、こっぷ座、ろくぶんぎ座、うみへび座がなんとか形を保っています。ちょうどペガスス座の反対側の星座ですね。この3つの星座はそのまま残しましょう。

51Peg星系から見た太陽とその周りの星座線(画像クリックで拡大表示)

それ以外は、デネブとかアンタレスが、地球から見た位置に近いところに見えています。

51Peg星系から見たデネブ(画像クリックで拡大表示)
51Peg星系から見たアンタレス(画像クリックで拡大表示)

とはいえ、星の配置は全然違うので、星座を作るのは大変そうです。想像力が必要です。さて、どうしたものか。あなたも系外惑星を選んで「星座」を考えてみませんか?

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