滋賀県多賀町「小中学生による星空調査」第7回レポート

このエントリーをはてなブックマークに追加
7回目となる滋賀県多賀町での星空調査が2022年の夏休みに実施され、その結果が発表された。光害を含んだ大気環境の変化を明らかにしていくとともに、星空を使っての環境学習が進められている。

【2023年2月22日 高橋進さん】

多賀町は滋賀県東部にあり、人口7000人あまりの小さな町です。公開天文台のダイニックアストロパーク天究館があり星空に興味を持つ人が多い町とも言われています。この多賀町で2011年10月に第23回「星空の街・あおぞらの町」全国大会が開催され、高円宮妃殿下のご臨席のもと、星空を見ることで環境意識を高めようと様々な取り組みの発表が行われました。この大会を契機として始められた星空調査はその後も1年おきに実施され、7回目の星空調査が2022年の夏休みに実施されました。

調査は夏の大三角付近の星空について4.4等までの恒星が描かれた用紙を使い、確認できた星を黒く塗りつぶしていく方法で行われました。観測期間は2022年7月21日から8月28日で、多賀町内の小学4~6年生と中学1~3年生の327名で行われました。寄せられたデータは968データで、この中から天候不良時のデータや内容の不明確なデータを削除した530データを使って多賀町の星空マップが作成されました。

調査用紙
調査用紙(提供:高橋さん、以下同)

作成された星空マップから、

  1. 東海道本線(市街地の分布地域)からの距離と見える星の限界等級には相関があること
  2. 市街地と観測地の間に山間部がある場合はより暗い星まで見えること
  3. 市街地から遠くても集落に街灯の多いところでは暗い星が見づらいこと

が明らかにされました。

2022年の調査結果
2022年の調査結果。画像クリックで表示拡大

また過去6回行われた星空調査と比べて、2022年の星空調査ではより暗い星が見られていました。ただこれがコロナ等の影響により光害が減少したことによるものか、他の要因によるものかは不明であり、引き続きの調査が必要と思われます。

調査結果の比較
調査結果の比較。画像クリックで表示拡大

小中学生による星空調査は今回で12年になり、小中学校の夏休みの学習としても定着しています。星空を使っての環境学習としても意味あるものと思われることから、今後も引き続き実施していきたいと考えています。

タグ

〈関連リンク〉

関連記事