探査機ジュノー、エウロパに接近飛行
NASAの木星探査機「ジュノー」が9月29日(日本時間)、衛星エウロパへのフライバイ(接近飛行)を実施し、表面から352kmの距離を通過した。探査機がエウロパに高度500km以下まで接近したのは、1979年に木星フライバイを行った探査機「ボイジャー」2号と、木星探査機「ガリレオ」に続いて3回目となった。ガリレオは2000年にエウロパの表面から351kmまで接近していて、今回はそれに迫る距離だ。
「ジュノー」が撮影した画像から作成されたエウロパのモザイク画像(提供:NASA / SWRI / MSSS / Jason Perry © CC NC SA)
ジュノーはエウロパ上空を秒速23.6kmで通過しながら画像を撮影しただけでなく、木星の磁気圏とエウロパの相互作用、エウロパの内部や表面の組成および構造、さらに電離層に関する貴重なデータを取得した。これらのデータからエウロパの表面を覆う厚さ数kmの氷や、その下の様子がわかると期待される。氷の下には塩分を含んだ海が存在すると考えられていて、そこに生命に適した環境があるかどうかが大きな関心事となっている。
「ジュノーが取得した画像を過去のミッションのものと比較し、エウロパの表面の特徴が過去20年間で変化したかどうかを確認する予定です。今回の画像はこれまで低解像度だった領域を置き換え、エウロパの地図を埋めてくれることでしょう」(米・惑星科学研究所 Candy Hansenさん)。
上空412kmから撮影されたエウロパのクローズアップ(提供:NASA/JPL-Caltech/SwRI)
今回のフライバイでジュノーは軌道を修正し、木星を1周する時間を43日から38日に短縮した。この後は2023年と2024年に、衛星イオへのフライバイを予定している。
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- NASA JPL:
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