誰しも興味を持っているが、なかなか実体がつかみにくい、またはちょっと近寄りがたい雰囲気のあるもの。
冷却CCDカメラは、残念ながらそうしたイメージがもたれているようだが、一度実際の撮像手順を知ってしまえば、あんがい親しみやすいものだということがわかる。そのために最近では、冷却CCDカメラによる撮影会や、初心者のための講習会などが、冷却CCD関連メーカーの手で開かれている。
弊社でも、機会があるごとにそういった催しへ参加し、画像処理ソフト「ステライメージ」の実演などを通して、冷却CCDカメラ普及の一助になれれば、と考えている。
先日(4月18日)も、武藤工業本社ビルにて、講習会を共同開催することができたので、当日のようすをレポートしよう。
前回行なわれた「第1回 冷却CCD講習会」では参加企業は7社を数えたが、今回は武藤工業(株)、(株)ニュートン、(株)アストロアーツの3社で共催した。
これは講習会の内容に余裕を持たせ、冷却CCDの初心者またはこれから購入を考えているようなユーザーに向けて、難しい話はいっさい抜きで、実際の撮像データを題材に基礎的な話をわかりやすく時間をかけて紹介しようという試みだ。
講習会は、デジタルアストロショップ「ニュートン」の村上氏による
「まず冷却CCDとは、ウルトラ超高感度の、もうムッチャ感度が高いカメラです」
ということばから始められた。
冷却CCD選びのポイント、パソコンとの組み合わせなど、ユーザーの相談をよく受けるショップならではの内容から、撮像の際のポイントや自身の経験談を紹介されるなど、じつに深い内容の講習で、冷却CCD撮像の全体像を熱心に語られていた。聞き手の側も、ふだんから「どうすればいいの」と思っていたことが順序よく解説されていくので、村上氏の言葉にいちいちうなずきながら聞き入っていたようだ。
写真1:講演する「ニュートン」村上氏と、熱心に聞き入る会場のようす。 続いて武藤工業の久山氏が講演台に立ち、「効率のよいコントローラの使い方」などを、実演を交えながら説明。すでに村上氏の講演で基礎的な説明を受けているので、聞き手の集中度も高く、また、会場の3分の1を占めるCCDユーザーにとっていちばん関心の高い、具体的な手順や撮像のコツなども紹介された。
最後は弊社上山による、撮像後の画像処理についての講演が行なわれた。ちょうど、弊社製品「ステライメージ」の最新版が開発中なので、それを使い、基本的な画像処理手順や銀塩写真に迫るための画像処理機能などを実演してみせた。画像処理は、CCD撮像したデータを発表作品に仕上げるのに必須のプロセスなので、熱心にメモをとる姿が会場のあちこちに見られた。
講演のあいまには、各社の展示ブースにて、かなり熱心な質問や経験談の披露などが行なわれ、まずまずの盛況であった。とくにユーザーからメーカーへの質問や要望には勉強させられることが多く、このような双方向の情報交換が、より使いやすい製品の開発に役立つところは大きい。
写真2:「ニュートン」のブースでは、じつに多方面の質問が飛び交っていた。また、超目玉賞品も用意されていた。
写真3:「武藤工業」のブースでは、CVシリーズCCDカメラ用の空冷ユニットや水冷ユニットなどが参考出品され、関心を集めていた。
写真4:「アストロアーツ」のブースには、経験者による画像処理のテクニックに関する質問が多かった。幸い、ステライメージは好評のようだ。
このような講習会が催され、メーカーとユーザーが直接情報交換できるような場が作られることは、冷却CCDの普及と発展にとって、大きな意義があると思う。
次回の講習会にさらに期待を。