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誕生直後の惑星状星雲


【1998年4月1日 NASA

輝きだしてから20年に満たない誕生直後の惑星状星雲をハッブル宇宙望遠鏡が鮮明に写し出した。この惑星状星雲はさいだん座にあるスティングレー星雲で地球から1万8千光年の距離にある。アカエイに似ているのでこの名がついたスティングレー星雲は、標準的な惑星状星雲の10分の1の大きさしかない。惑星状星雲は、太陽質量程度の恒星の最後の姿と考えられている。恒星が晩年に入り赤色巨星となった後、外層がゆっくりと放出し恒星本体は白色矮星として残る。白色矮星から発する紫外線で、周囲のガスが輝き出し惑星状星雲として観測される。

スティングレー星雲

今回のスティングレー星雲は、20年前にはまだガスが発光するほどには熱くなかった。また、直径が小さい事からも、スティングレー星雲は生まれたばかりの惑星状星雲だと天文学者はみている。従来の理論では惑星状星雲の発達はもっとゆっくりしたもので、中心の白色矮星がこれほど急激に高温になったことに天文学者たちは驚きを隠せないようだ。このように惑星状星雲が急激に進化するものならば、今までに発見された惑星状星雲の中で生まれたてのものがほとんど無かったことも説明ができるとしている。数十億年という非常に長い寿命を持つ恒星がほんの100年たらずの時間で惑星状星雲へと進化するということは、人間にたとえるならば瞬きする間に変身するようなものだ。

今回の観測で、白色矮星からの恒星風のジェットや、星を取り巻くリングなどの詳細な構造が分かり、惑星状星雲の進化の過程をより緻密に解明できそうだ。特に惑星状星雲特有の気泡のような構造のガスがどのようにしてできるかに天文学者たちは興味を注いでいる。

なお、詳細は http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1998/15/ にて公開されている。



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