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太陽と同規模の恒星の終焉をハッブル望遠鏡がとらえた


【1997年12月19日 NASA/STScI

太陽クラスの恒星は、白熱したガスの塊を放出しながら消耗し、 白色矮星となり死を迎えるとされている。 今回NASAが発表したハッブル宇宙望遠鏡の画像は、 この末期の恒星が放出した複雑な構造の星雲のようすを鮮明にとらえた。 白熱したガスが風車やスプリンクラーのような形態、 みごとなゴブレット状、ロケットエンジンの噴出を思わせるような形さえもある。

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シアトル大学のブルース・バリック教授は、 「今回ハッブルがとらえたこれらの不気味な『花火』の画像は、 我々の太陽の死に行く姿とそっくりのものを見ていることになる」と語った。 また、「この画像は単に星のライトショーを見せてくれるだけでなく、 星の中心部ででき上がった炭素のように重い元素が、 星や惑星、ならびに生命をも誕生させるべく、 星間物質として宇宙空間に放出されることを見せてくれている。」とも語った。

今回公表された画像には星が放出する特異なパターンが多数見られる。 これらは、画像には映っていない惑星や褐色矮星、 あるいはさらに小さい星と、 この年老いた星が相互に作用しあって生じているのではないかと考えられる。

これまで、天文学者は星の死際のガスの放出をもっと単純なものと考えていた。 宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)のハワード・ボンドは、 「我々がこの画像を見たとき、すぐに、これまでの古い、 そしてシンプルな星の死という考えを改めなくてはならないということが、 すぐにわかった」と語る。

今回の画像によって得られた情報は以下のとおり。

こうした状況を踏まえ、 2月にハッブル望遠鏡に取り付けられたばかりの赤外線カメラなどを使い、 今後もこの星雲について研究し、星の誕生そして死、 という恒星の進化を解き明かしていきたいとNASAは述べている。

STScIのページ http://oposite.stsci.edu/pubinfo/PR/97/38.htmlには、 より多くの画像や解説が掲載されている。



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