わずか4例目、ジェットを噴き出す渦巻銀河

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研究者を悩ますミステリアスな銀河が発見された。通常ジェットは楕円銀河に見られるものであり、渦巻銀河には見られないものと考えられている。発見された銀河「J1649+2635」は、天の川銀河のように渦巻く腕を持っており渦巻銀河だと確認されたのだが、その中心核からは巨大なジェットが噴き出している。

【2014年12月5日 NRAO

約8億光年彼方にあるヘルクレス座の銀河「J1649+2635」の中心付近からジェットの噴出が観測された。渦巻銀河からのジェットの噴出はこれがわずか4例目の発見だ。

「通常、ジェットは渦巻銀河の合体で形成された楕円銀河から噴出されるものと考えられています。今回観測された渦巻銀河の巨大なジェットのメカニズムは謎です」(アメリカ国立電波天文台のMinnie Maoさん)。

J1649+2635銀河の画像
電波と可視光観測のデータとを重ね合わせたJ1649+2635銀河(黄色:可視光、青:電波)(提供:Mao et al., NRAO/AUI/NSF, Sloan Digital Sky Survey)

Maoさんらは研究を進める中で、銀河分類プロジェクト「The Galaxy Zoo」の参加者にボランティア協力を呼びかけた。このプロジェクトにはこれまでに15万人が参加し、約70万個もの銀河が分類されている。J1649+2635は、呼びかけに応じた31人のボランティアのうち30人が渦巻銀河と判定した。別の解析によっても、同銀河が渦巻銀河であり、強力な電波ジェットを噴出していることが確認された。

さらに、J1649+2635が通常と異なるのはジェットを噴出していることだけではない。整った渦巻銀河としては初めて、可視光を放射する大きなハロー(銀河を取り巻く球状の構造)が観測されたのだ。

「渦巻き構造を失わないような、通常とは異なる合体が起こったのかもしれません。あるいは、元は楕円銀河であったものが他の銀河との衝突によって渦巻きが再生したのかもしれませんし、周囲の環境との相互作用の結果という可能性もあります。なぜこのような姿になったのか、同様の銀河がほかにももっと存在するかどうか、今後もさらに詳しい研究を続けます」(Maoさん)。