明るい極大を迎えている変光星ミラ

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くじら座の胸の位置に輝く変光星ミラが、久しぶりに明るい極大を迎えています。10月14日でおよそ2.7等になり、肉眼でもはっきりと見られるようになっています。

【2019年10月16日 高橋進さん】

ミラは約332日の周期でおよそ3等から9等の間を変光する脈動変光星です。脈動というと大きく膨張した時が明るいように思われるかもしれませんが、実際には小さく収縮した時期のほうが高温になり明るく輝きます。

2019年のミラは8月初旬におよそ9等の極小(最も暗い状態)になり、その後9月ごろから急激に明るさを増していきました。10月に入って増光のスピードが穏やかになっており、間もなく極大(最も明るい状態)と思われます。

ミラの極大時の光度は一定ではなく、その時々によって変わります。ここ数年は3等台半ばくらいの極大が続いていましたが、今回は10月14日現在でおよそ2.7等になっていて、久しぶりの明るい極大です。予報されている極大日は11月7日ごろと言われていますので、さらにもう少し明るくなるかもしれません。

2019年のミラの光度変化
2019年のミラの光度変化(提供:高橋さん/VSOLJ(日本変光星観測者連盟)メーリングリストに報告されたデータより作図)

最近の観測では2015年におよそ2.5等程度の極大を迎えたと思われますが、この年は極大時期が4月(くじら座が見づらい季節)で観測数も少ない極大でした。条件が良く多くの観測が行われた極大としては2011年以来の明るい極大と言えそうです。

ミラは今年いっぱいは極大期の明るい状態を続け、その後にゆっくりと減光していくと思われます。ここしばらくは天体望遠鏡や双眼鏡がなくても、肉眼で見ることもできます。くじら座は夜の8時ごろには東の空に上がってきており、ミラの観測には絶好の時期です。この機会にぜひ、変光星ミラをご覧ください。

くじら座の周辺の星図
くじら座の周辺の星図。名前を付しているのは比較的明るく、赤~オレンジ系に見える星。ミラと明るさや色を比べてみたい

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