2月11日未明、クレオパトラが星を隠す
【2019年2月1日 星ナビ編集部】
2月11日(月・祝)1時5分ごろ、小惑星クレオパトラ((216) Kleopatra)による恒星食(掩蔽)が起こります。この小惑星は名称も魅力的ですが、その素顔もミステリーに包まれています。小惑星クレオパトラは過去のレーダーによる観測から、摩訶不思議な犬の骨のような形状をしていることがわかっているのです。これは、膨大な数ある小惑星の中でもとても奇妙なものの一つです。
小惑星クレオパトラ(提供:NASA/JPL)
隠される恒星(TYC 0152-02286-1、いっかくじゅう座)は9.45等で、これは恒星食としてはかなり明るい対象です。減光が起これば、恒星は最長19.8秒にわたって約1.9等級暗くなると予想されています。小型望遠鏡による観測でも、明瞭で瞬間的な減光と増光が観測できることでしょう。
概略星図(「ステラナビゲータ」で星図作成)
観測が可能な範囲は関東を中心に中部、北陸エリアと予想されています。
予報掩蔽帯。緑の線が掩蔽帯の中心、青は限界線、赤は誤差を考慮した限界線(グーグルマップを元に作成)
その他、詳細については下記の〈関連リンク〉を参照してください。
観測の目的は、減光と増光の瞬間の時刻を測定することです。もちろん眼視観測も歓迎です。観測の際にはできるだけ正確な時報を用意してください。観測に成功したら、JOIN(Japan Occultation Information Network)のメンバーもしくは早水さんに報告をお願いいたします。観測の成果は全世界に公開され、星食の研究に役立てられます。
観測結果が多く集まることで、クレオパトラの形状がさらに詳しくわかります。ぜひ、チャレンジしてみてください。
〈関連リンク〉
- HAL星研
- スティーブ・プレストン(IOTA) の予報サイト
- せんだい宇宙館:2006.4.22 小惑星クレオパトラによる掩蔽の観測成果
- 日本スペースガード協会:クレオパトラとアルベルト
- NASA:Astronomers Catch Images of Giant Metal Dog Bone Asteroid
- 星ナビ.com:2019年3月号 早水さんの記事「小惑星による恒星食:2018年の成果と2019年の予報」
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